在宅医療では、病院で行っている医療行為のほとんどを患者さんのご自宅でも行うことが可能である、と以前にご説明いたしました。
では、病院医療と在宅医療の違いとは一体何なのでしょうか。
現在の病院、特に急性期病院においては、そのほとんどが臓器別医療です。
心臓が悪ければ循環器科、脳に病気があれば脳神経外科、肺の病気なら呼吸器内科、というように非常に細分化されており、病院医療というものはすなわち臓器別医療の究極の論理と言い換えても良いかも知れません。
また、誤解を恐れずに申し上げるならば、がんの終末期などのようにその臓器を治すことができない患者さんは、もはや臓器別医療の対象ではなくなってしまいます。
一方、在宅医療とは、残念ながらお病気を患ってしまった人が一人の生活者として地域で暮らしていくために、できる限りその人の生活を支えていく医療です。
すなわち、在宅医療とは「治し、支える医療」である、と私たちは考えています。
ですので、在宅医療は病院医療のコピーではありません。
病院医療と同じもの(治す医療)を在宅医療に求める、という姿勢も、もしかしたら間違っているのかもしれません。
次回は、『生活を支える医療』についてお話ししてみたいと思います。
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